麗雪神話~青銀の王国~
「何しに来たの」

「少し、君が心配で。やっぱり、すぐれない顔色をしている。
昨夜はどうしてあんなに早くに退場してしまったんだ? せっかく君と踊れて、楽しくなってきたところだったのに。そうだそれに、あの神人とかいう男とは、どういう関係なんだ? 急に君を連れて外に出て行ってしまうなんて、一目ぼれにしては大胆じゃないか」

「……」

セレイアは、答えたくなかった。

答えない方が今後ここを逃げるときにもよいだろう。

「…知らない。彼は、空中庭園を見たかったんですって。それで、一人じゃ味気ないから、私を連れて行った、ただそれだけよ」

苦しい言い訳のようだったが、今思いつく嘘はこれだけだった。さいわい、セレスは疑問に思わなかったようだ。

「ふうん」と答える。

セレスを見ているうちに、セレイアは彼に聞いてみたいことが思い浮かんだ。

今自分を悩ませていることを、ひょっとしたら、解決してくれるかもしれない質問だ。

「ねえ」

セレイアは遠慮がちに口を開いた。
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