麗雪神話~青銀の王国~
「何、と言われましても……」

正直に話すことは言語道断だ。と思う。

セレイアがどうしたものかとソファの向かいでもじもじしていると、レティシアはずいっと身を乗り出してきた。

「洗いざらい話していただきますわよ。
わたくしたち、友達になったのではありませんの?
特別に相談にのってさしあげてもよろしいと、このわたくしが言っているのですよセレイア」

友達うんぬんを言われると弱い。

セレイアはひとつ息をつくと、洗いざらい…とまではいかぬものの、ことのあらましを相談してみることにした。

13歳の少女に、していい話なのかわからないが…。何も話さないと、彼女がむくれてしまうだろう。

「ええと、ある人に、キスされたんです。突然。
全然、恋人とかじゃない、友人にです。
そしてそれがただの挨拶だって、言われたんです」

レティシアは目を見張り、ふわっと頬を上気させた。

―ああ、やっぱり、13歳の女の子に話すことじゃなかった。

セレイアはそう思ったのだが、意外な返事が返ってきた。

「…なるほどね。
セレイアはそれで傷ついているのね。なるほどなるほど」

「王女殿下? 何がなるほどなんですか」

「あら、わかりませんの?」

怪訝そうな顔をされて、こっちが怪訝に思う。
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