麗雪神話~青銀の王国~
「女王になればいいのです。
こんな美しい、豊かな国を、守る仕事。それはトリステアの姫巫女に勝るとも劣らぬ仕事ですわ。そういう道もあると、私は思います」

セレイアは絶句した。

女王になる。

そんな選択肢、考えたこともなかった。

「女王になって、国を守って、素敵な殿方と恋をして、結婚をして、幸せになるのです。それの何がいけないのです?」

「………それは、でも」

「セレイア様は」

少しもどかしそうに、フリムが言を継ぐ。

「セレイア様はもう、幸せになれますわ。いつでも。
ただご自分で、幸せを締め出してしまっているだけ。
もういいのです。幸せになって。
もう十分なんです、セレイア様」

一言一言、言い聞かせるようなフリムの言葉に、セレイアは息が詰まるような思いがした。

なぜだかまなじりが熱くなってくる。

喉の奥に鉛のようなものを感じながら、セレイアは小さく返事を返した。

「……わからないわ。
幸せになんて、なれないもの。
ヴァルクスが……いないのに、幸せになんてなれない。
なってはいけないのよフリム」
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