麗雪神話~青銀の王国~
「はははは!
面白い冗談を言うねえ、君。
僕の霧を払うこともできないくせに」

どういう力でそんなことができるのか知らないが、ヴェインは黒い外套を翻しながら、空中に浮かび上がっていた。

彼の手で霧が凝縮し、一振りの長槍となる。

「さっさと死ね!
スノーティアスの目の前でな!」

間髪入れずに、ヴェインは槍をセレイアめがけて投げた。

その速さは尋常ではない。

セレイアの反射神経があと少し足りなかったら、彼女は最初のその一撃でお陀仏だっただろう。

かろうじて、セレイアは槍をかわすことに成功した。

相手は今丸腰だ。

このチャンスを逃してはならない。

セレイアはそう思ったのだが、甘かった。

地面に突き立った槍が霧散して霧に戻ったと同時に、ヴェインの手には新た長槍が生成されていたのだ。

(投げても平気ってこと?
ずいぶん便利な得物だわ)

感心している場合ではない。

このままでは相手に空から狙われ続けて圧倒的に不利だ。
< 151 / 172 >

この作品をシェア

pagetop