麗雪神話~青銀の王国~
(ふう、危ない危ない…)

セレイアは冷静になり、思考を巡らせた。

きっとこれは、ラピストリにふさわしく、非常事態に迅速に行動を起こすかどうかを見られている試練なのだ。

落選したいセレイアは、ただじっと、ここで待っていればいいはずだ。

非常鐘は鳴り響き続けている。

しかしセレイアは椅子に腰を落ち着け、じっと待った。

やがて鐘の音はやみ、あたりに静寂が戻った。

そして、セレイアのいる小部屋の扉が、外側から開いた。

試験官の一人が、やけににこにことしてこちらを見ている。

「…実にすばらしい。非常事態にも慌てず騒がず、じっと思考をめぐらしてから行動を起こす落ち着き。これぞラピストリにふさわしき行動。上に立つ者は、冷静に指示を出せる者ではなければならないのです」

「………へ?」

思わず間抜けな顔で仰ぎ見るセレイアに、試験官は満面の笑みで頷いて見せた。

「―合格ですよ、セレイア殿」

(ええええ――――――っ!!?)
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