麗雪神話~青銀の王国~
戦士の勘がそう告げていた。

「あなたこそ、本気を出したらどう!?
あなた、私を殺す気がないわね」

「おや」

とても愉快そうに、ヴェインが片眉を跳ね上げる。

「どうしてわかったの?
そうだよ。お楽しみはじっくり、ね。
今日は様子見。
なるほどなるほど、お前の槍技は大したものだ。
殺し甲斐がある。
それがわかっただけで、いいかな」

ヴェインが去ろうとしている気配に、セレイアは憤慨する。

「霧をなんとかしなさいよ!」

「おやおや、気づいてないの?
霧ならとっくに風に流されちゃったよ」

「え?」

そんな風が吹いていた記憶はない。

けれど周囲に視線を転じると、確かにさわやかな強風が吹き、霧が跡形もなくなっている。

(どういうこと!?)

「いやな風になってきたね。
これ以上怒らせちゃまずいかな」

誰を、とヴェインは言わなかった。

「また会うよ、僕たち。じゃあね」

短い台詞を虚空に残して、ヴェインの姿はふっと掻き消えた。
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