麗雪神話~青銀の王国~
念のため、その場にいた全員に浄化をほどこしたが、皆浄化というものにぴんときていないようだった。霧の少ない国ゆえだろう。おかげでセレイアの身分がばれずに済んだ。むろん、それでラピストリ候補から解放されるならば、ばれても一向に構わなかったが。

霧にはともかく、セレイアの見せた槍技に、皆驚きを隠せないようだった。

「セレイア。あなたって、女の人なのに、すごく強いのね」

少し興奮気味に、レティシア王女が話しかけてくる。

「私なんてまだまだ未熟者ですよ」

現にヴェインとの戦い、長引けば圧倒的にこちらが不利になっていただろう。彼は本気ではなかったのだから。

ぽつりと、セレイアにしか聞こえぬ音量で、呟くようにレティシアが言う。

「それにその瞳…青空の色。空の神の加護の証。
わたくしはそれが、羨ましい……」

「え…………?」

伏せた瞳に浮かぶのは、憂いの色。

この時セレイアの中で符号がぴたりと一致した。

(女王陛下が言っていたレティシア王女に足りないもの。
それは“色”なんだわ)

セレスにせよフィーヴルにせよ、見事な空色の髪と瞳を持っている。

それに比べてレティシアは、髪も瞳も空の色を受け継いでいない。

―だからだったのか。
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