さぁ、オレと恋をしてみようか
やっぱり20歳にもなって、一度も付き合ったことがないというのは、レアなのだろうか…。


「いや、ごめん。言い方が悪かったよね。でもホラ、こういうのって〝縁〟だしね。芽衣子ちゃんは、その彼氏と出会うために、付き合うために、今日まで取っておいたんだよ」


〝今日まで取っておいた〟か…。千織さんと、出会うために…。


「って、ごめん。話、逸れちゃったね。それで?」
「あ、はい。あ、剛史さん歩きましょ?美和子さんが心配しちゃいますっ」


わたしが歩き出すと、剛史さんも合わせるように歩き出した。


「あの、わたし初めてだから、どうやってお付き合いをしたらいいのか、わからないんです。〝いつでも連絡して〟とか〝言いたいことはガマンしないで言って〟とか。どこまで鵜呑みにしていいのか……」


だってホントに、わたしが夜中に連絡してイヤな思いをさせたら……って、思うとショックだし言いたいことだって、どこまで言っていいのか、わからない。


「ねぇ、芽衣子ちゃん。その彼氏も初めて付き合う人?」
「え?いえ、相手の人は37歳の方だから、わたしより人生においても経験豊富な方かと…」
「37歳!?それはまた、ずいぶん年上の人を好きになったねぇ。あ。〝悪い〟なんて言ってるワケじゃないよ?」


一瞬、わたしが顔を曇らせたからなのか、剛史さんは慌てて否定した。


「うーん、でもさ。37歳でしょ?まぁ、それなりに恋愛もしてきてるだろうし、彼氏が〝イイ〟って言ってるんだから、甘えていいんじゃないのかなぁ」


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