さぁ、オレと恋をしてみようか
「あの、剛史さん……」
「ん?」
「わたし、気になる人というか、好きな人がいて……」


剛史さんは〝いつでも聞く〟と言ってくれた。


お母さん以外の人に相談するのは恥ずかしいけど、いい機会だよね。


「剛史さんと美和子さんを見てたら、うらやましくなっちゃって、さっき抜け出したのは、その彼に会いたくなって会いに行っちゃったんです。でもその彼に告白されて、ついさっき付き合うことになったんです」
「両想いだったんだね。よかったじゃない。なのに、どうしてそんな顔してるの?」


剛史さんの言葉に、ピタリ足を止めると同じく剛史さんも足を止めた。


「剛史さんに初めて言うんですけど。わたし、初めてお付き合いするんです」
「ウソっ!?ホントに!?」


剛史さん……そんなに驚かなくてもいいじゃないですか…。


剛史さんは目を見開き、驚きすぎたのか一歩後ろへと下がった。


〝あは〟と苦笑いをするわたしに気付いたのか「あー、いや、ごめん」と今度は頭を下げてきた。


「いえ…」
「いや、あの、驚いたのはさ、芽衣子ちゃんは普通に彼氏がいるもんだと思ってたからさ…!」


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