さぁ、オレと恋をしてみようか
「え、なに…アレ…」


全然、意味がわからない。ポカンとしてるわたしの横で〝ぷっ〟と、剛史さんが笑う。


「芽衣子ちゃん、きっとお父さんはさ、今まで芽衣子ちゃんに怒られ続けてきたから、バレないようにしてたんじゃない?結果、いつもより早めの帰宅で驚いたんだろうけど」


なにそれ…。それがホントなら、アホとしか言いようがない。


「はぁ…」と、ため息をつき剛史さんに家の前まで送ってもらう。


すると、タイミングを見計らったかのようにドアが、ガチャリと開き、お父さんが小走りでやってきた。


「おー、芽衣子!今日は早かったな!今、タバコを吸おうと思って、外に出たんだよー!」
「は?」


なんだ、その言い訳は!見え見えのウソばっかり!


「あー、これはこれは店長さん!いつも娘がお世話になってます。今日も家まで送っていただいて、すみません」
「いえいえ、大事な娘さんですからね。じゃあ、妻が待ってますので失礼します。芽衣子ちゃん、また明日ね」
「あ、はい!美和子さんと、新井さんに、よろしくお伝えください!それと、イロイロと、ありがとうございました。あ、あとコレ!杏仁豆腐、美味しいんです!皆さんで食べてください!」
「え、いいの?ありがとう。美和子も新井さんも、喜ぶよ」


頭を下げたわたしに、剛史さんはニッと笑顔を見せ、お父さんに頭を下げると来た道を戻って行った。


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