さぁ、オレと恋をしてみようか
「なに言ってるの、それからお店に行けばいいでしょ。お母さん、5時に〝miwa〟行くから!」
「いや、でも、夕飯の支度とか、お父さんだって帰ってくるだろうし」
「なに言ってるのよ。そんな時のために〝カレーライス〟というものがあるんじゃない!午前中には作っちゃうから!」


やっぱり、お母さん楽しそう…。


しかも〝そんな時のカレーライス〟って…。カレーライスに失礼だよね…。


「ほら、そうと決まったら早く寝なさい。夜更かしは、お肌によくないよ?」
「…うん、わかった。じゃあ、わたし寝るね」
「はい、おやすみー」


お母さんが手のひらを、ヒラヒラさせ、わたしも部屋に行こうと思ったけど、お父さんがいるんじゃ…。


そう思って、お母さんを見ると「大丈夫よ」と、それだけ言った。


大丈夫ってことは、わたしがこのドアを開けても、お父さんはいないってことだよね?


お母さんの言葉を信じて、ドアを開けると、お母さんの言うとおり、お父さんの姿はどこにもなかった。


安心して、もう一度、お母さんのほうを振り向くと「おやすみなさい」と、一言だけ言って、自分の部屋へと向かった。


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