さぁ、オレと恋をしてみようか
あ、まただ…。お父さん、いったいどこで聞いてるのよ…。


呆れるわたしとは反対に、お母さんはクスクスと笑っていた。


でも、意外だった。お父さんが付き合ったその日に…その…キ、キスをしてきたなんてっ…。


「で、でも千織さんは、わたしがお付き合いするのが初めてだから、多分気を遣ってくれてるんだと…」


だって、明後日のデートだって、わたしがちょっと驚いただけで、やめようとしてたくらいだったし。


「まぁ、芽衣子は初めての彼氏だしね。年上の彼氏だし、芽衣子はしっかり恋愛を楽しみなさいな」


〝恋愛を楽しむ〟か…。そうだよね、初めてだし、もちろん不安もたくさんあるけど、楽しむことが大事だよね。


「うんっ。ねぇ、お母さん。明後日、千織さんとデートなの。洋服、なに着てけばいいかな?」
「デートっ!?まぁ、大変!!明日、買い物行きましょ!」
「え、買い物って…わたし5時まで仕事だよ?」


お母さん、目がキラキラしてるよ…。


デートするのは、わたしなのに、わたしより楽しそうにしてるのは、どうしてだろうか…。


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