さぁ、オレと恋をしてみようか
「智衣ー!芽衣子ー!」
「あ」


家が見えてくると、お父さんは外に出ていて、わたしたちの姿を見つけると両手を上げて名前を呼んだ。


「やだ、賢太くんったら恥ずかしい!」


なんて言いながら、お母さんはお父さんの元へと駆け寄り、胸に飛び込んだ。


家の中に入ると、外では「お帰り」と声をかけてくれたお父さんが、まったく目も合わせてくれなくなった。


原因は多分、わたしが持ってた紙袋。


お母さんが〝明日デート〟だと言ったから、きっとソレに目がいったんだろうな。


気まずいけど、でもわたしだって、千織さんのことが好きなんだ。


デートだってしたいんだ。だから許してね、お父さん。


心の中で、そんなことを思いながら、夕食とシャワーを済ませると、明日のために早めに寝ることにした。


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