さぁ、オレと恋をしてみようか
「おかあ、」
「バカねぇ。なに、泣いてんのよー！」


は…？泣いてる…？お父さんが…？


わたしたちの帰りが遅かったってだけで、泣いてるの？……ウソでしょ。


「もう。もうちょっとで着くから、おとなしく待ってて？じゃあね」


なんだろう、このどうでもいい会話。


「あ、芽衣子。お父さんがね、」
「バッカみたい」
「え？」
「ちょっと帰りが遅いから泣くなんて、バッカみたい」
「もう。そんなこと言わないの。賢太くん、芽衣子のこと心配してたけど、同じくらいお母さんのことも心配してくれるの。こういう時ね、賢太くんに愛されてるって実感するんだ。お母さんの大好きな人なの。だから、悪く言わないであげて？」


……あ。そう、だよね…。お母さんだって、お父さんと恋愛して、結婚して、わたしが生まれたんだ。


今でもお父さんのことが大好きで、お父さんもお母さんのことが大好きなんだ。


「……ごめんなさい」
「うん、いいのよ。わかってくれれば、それで」


わたしもずっとずっと、千織さんに愛され続けたいな。お母さんたちのように…。


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