さぁ、オレと恋をしてみようか
「若い時は、わたしもこういうの着てたの覚えてる?」
「…あぁ、覚えてるよ」
「カワイかったでしょ?」
「…あぁ」
「じゃあ、芽衣子だってカワイイと本心から思ってるわよね?」


なんかお母さん…それ、脅しっぽくなってませんか…?


「芽衣子」
「あ、うん?」


お父さんは、わたしと目が合うと少し視線をズラして言った。


「似合ってるよ…」
「あ、ありがとう…」
「もう、仕事行く」
「はいはい。じゃあ、お見送りしますね。寂しい賢太くんには、チューしてあげるっ」
「い、いらないっ」
「ヤダ、照れちゃってー!」


この2人は、とことん仲が良いんだと見せつけられる。


お母さんは、キャッキャッしながらお父さんのお見送りに行ってしまった。


「芽衣子も、そろそろ時間ね?」


お父さんを送り出したお母さんは、リビングへと戻ってきて言った。


「うん。でも、お母さん。お父さんに、あんなこと言って…」
「しょうがないでしょ。芽衣子に彼氏ができたって、免疫付けておかないと」
「免疫って…」


< 164 / 283 >

この作品をシェア

pagetop