さぁ、オレと恋をしてみようか
お母さんは、袋からプリンを出し、キラキラした目で見てたのを、わたしにうつした。


「うん。わたし〝オクダ〟2年振りに行ったんだよね。高校卒業してから、行ってなかったみたいで。そしたら、おじさんとおばさんがいなくて、息子さんが継いでたから、ビックリしたの」
「あー、そうそう。ちょうど芽衣子が卒業したあとくらいに、息子さんが継いだんだよねぇ」


そうだったんだぁ。それだもん、わたしは面識ないわけだ。


「ふーん。でもさ、そんな年でもなかったよね?あの息子さんだって、わたしよりは上だろうけど、まだ若い感じだったし」


お母さんは、わたしを20歳で産んでる。


つまりは、今のわたしの年で、もう母になってたってこと。


だからもし、あのお兄さんが今30歳だとして、20歳で産んでたら現在50歳ってこと。


30歳で産んでても、60歳。引退するにしちゃ、早すぎるような気もするというか。


「それがね、わかんないんだよねぇ。急に、あの息子さんに変わってたのよ。ご近所さんもね、気になって聞いたことがあるんだって。でも〝家庭の事情〟とかで、詳しくは教えてくれなかったんだって」
「へぇ〜」


なんか、気になる…。急に変わって、しかも話したがらないってことは、何かがあるってこと。


< 21 / 283 >

この作品をシェア

pagetop