さぁ、オレと恋をしてみようか
お母さんは、わたしが持ってた袋に目を向けてきた。


「あー、うん。プリンないから帰ろうとしたら、お兄さんが杏仁豆腐がオススメって言うから、買ってみたの」
「お兄さん、だと…?」


トナリでシュンとしていた、お父さんが、またわたしの言葉にピクンと反応した。


「芽衣子!〝お兄さん〟って言うのは!!」
「はぁ?店の人に決まってるでしょ」
「店の人って!!いつから、そんな仲良くなったんだ!どこの店だ!」


あーっ、もうなんなの!?店の人と喋ることすら、制限されなきゃいけないの!?


どこの店って、店を知ってどうすんのよ。


〝ウチの娘とは、喋らないでくれ!〟とでも言うつもりなの!?


「ちょっとー。賢太くん!?その異常すぎる過保護やめなさい?心配するのは、わかるけど、心配すればするほど、芽衣子に嫌われるってわからないの?」
「うっ……ぅー」


またお父さんは、親に叱られた子供のように小さくなった。


百歩譲って、学生の時までは許すよ。


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