暁天の星
全てを聞き終えて、目を開ける。
「音源はこれで全部だ。」
「うん。ありがとう。」
ヘッドホンをライに返した。
「敵は?大体何人かわかる?」
「ああ。波数から見て20人ぐらいだろうな。そいつらが日替わりで毎日来てるってわけ。」
「そうか…。」
「あのお母さん…、暴行だけじゃなくて、知らない男たちに襲われて、精神的にそろそろ限界だ。逆によくここまで耐えてるよ。」
「うん…。絶対に助ける。」
「お前1人で行くの?応援は?」
「1人のつもりだけど…。必要になったら呼ぶよ。」
じゃあもう寝ろ、ライはそう言ってわたしの肩にポンと手を置くとどこかへ消えた。
もう一度目を閉じる。
知らない男の声。
……許せなかった。
最後、男が口にした、お母さんとなつきくんを侮辱したような言葉。
金で雇われてる…?
カワバタ ユウイチ……。
なんて男なの。
確かに、お金が絡んでいるなら妊娠の可能性は極めて低い。依頼以上のことはできないから。
けど、大事なのはそんなとこじゃない。
それよりももっと大事なのは、お母さんとなつきくんの精神状態だ。
音源の最後に、ジュッて、火を消す音となつきくんの絶叫が聞こえた…。
ライも言ってたけど、音からして根性焼きだろう。
『お前は〜…………、早く死ねよ。』
そう言われて、そんな言葉を。
どんな気持ちで受け止めているの。
許さない……………。