みんなの冷蔵庫(仮)1
エレベーターに駆け足で入り、大きく息を吐き出した。


「かっこいい……」


思わず口をついて出た自分の声に、我ながらびっくりする。

五階に到着し、自分の部屋に駆け足で飛び込み、後ろ手に閉めたドアに背中にぴったりと付け、荒くなった呼吸を整える。

や、やばい。
佐田さん、かっこいい。

あの声、指、肩……
どうしても、意識してしまう。

とりあえず靴を脱ぎ、冷蔵庫からよく冷えた麦茶を出しコップ一杯飲むと、黒いTシャツとジーパンに着替えた。

これは恋心なんかじゃない。ただ、免疫がないからドキドキしてるだけだ、と自分に言い聞かせ、家を出た。


< 208 / 491 >

この作品をシェア

pagetop