みんなの冷蔵庫(仮)1
恋かもしれない
しまった。
部屋片付いてない。


さっき突然襲われて気が動転していたので、鍵を差し込んだところで思い出したけれど、今更気付いてももう遅い。

私は諦めて勢いよくドアを引いた。
暗い玄関に入り、電気を点ける。


「失礼します」


そう言って佐田さんが私の後に続く。

私は慌ててスニーカーを脱ぎ、狭いキッチンスペースの奥の部屋に飛び込む。
朝家を出た時はデートのつもりだったので、小さな鏡を置いたちょっとした化粧スペースには慣れないメイク道具が散乱し、ベットの上にはワンピースが先程脱ぎ捨てたままになっている。

ただでさえ狭い部屋なのに、佐田さんみたいに大きな人が座る場所がない。


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