みんなの冷蔵庫(仮)1
「やっぱり鼻毛もわざとですかね」

「いや、鼻毛は違うでしょ……」


顎に親指と人差し指を添え、小首を傾げる佐田さんに即答して、私もシグマの前に置かれたパソコンを見る。

一つのファイルに何人のデータが入っているのかはわからないが、ずらっと列んだ大量のファイル名に思わずのけ反る。


「すごっ!」


頬を引きつらせて苦笑いしていると、シグマが横で大きく息を吸う音が聞こえた。


「俺やるよ。くららちゃんを襲った奴らも、絶対捕まえてもう二度とそんな事させないようにしなきゃ!」


妙に真剣な顔付きのシグマを見ていると、昔のただほわほわしたシグマとは違うんだなぁと思う。

いつでも一生懸命、てところは変わっていないけど、こんな風に私より前に出て行くタイプじゃなかった。


「シグマさんはくららさんのナイトですね」


佐田さんがほほえましい光景を眺めるような、子供を見る父親みたいな顔をして言ったので、チクリと胸が痛んだ。

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