みんなの冷蔵庫(仮)1
かなり。
かーなーりー腹が立ったが、もしかしてシグマのように何か深い理由があるのかもしれない、と思い直し、込み上げる怒りを静めた。


「なぜそんなに金が欲しいんだ?」


相手は女性だし、できるだけ優しく言った。

しかし。


「何言ってんの。お金欲しくない人とかいないでしょ」


ふて腐れたような言い方で即答され、僕の「優しくしようキャンペーン」は終了した。

誰だって生活するには金がいる。それは何不自由なく育った僕にも分かる。
しかし、この言い方は気に食わない。

立場が逆転しているじゃないか。

ドアの隙間から玄関に滑り込む。
そして、野崎ちよみの顔のすぐ横に真っ直ぐに腕を伸ばし、壁に強く手を打ち付けた。


「誰に頼まれた?」


乱暴はしたくないが、こうして追い詰めなければ、このまま開き直り、色々とはぐらかされそうだと思った。


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