みんなの冷蔵庫(仮)1
「そしてシグマに見せてもらった。あの光を」


京極はまたカップに口を付け、私の隣ではぐはぐとリンゴをほお張るシグマをちらりと見た。

何かを思い出したように、目を細める。


「でもそれだけだった。光が出ただけ。この意味、分かるな?」


私の心を見透かそうとするみたいに、ちょっと前屈みに距離を縮めて見つめてくる。


私は唾を飲んだ。

この人は全てを知っている。

もしかしたら私よりも知っているかもしれない。

今更何かを隠そうとするのもとても無意味な気がしてきて、静かに頷いた。


< 75 / 491 >

この作品をシェア

pagetop