カフェには黒豹と王子様がいます
 そう言って、自分の腕を額の上に置く。

 なんだか、いつもの小野田先輩とちがう。

 無防備すぎてドキドキする。

 そんな目で見ないで。

 そんなに見つめないで。

 すいこまれそう……。
 

「小野田を襲っちゃだめだよ」

 突然の声に驚いて、小野田先輩からぱっと離れて、振り向いた。

 いつから見ていたのか、徳永先輩が後ろでくっくっくと笑っている。

 人が悪すぎる!

「西口―、僕が倒れても、熱計りに来てね」

 顔がぼふっと赤くなる。もう、徳永先輩キライ!

 私は走ってフロアの方に逃げた。

 背中に爆笑の徳永先輩の声がする。
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