カフェには黒豹と王子様がいます
 昨日の私とおんなじだ。

 小野田先輩に対する想いがあふれて止まらなかった。

 うっかりこのまま身をゆだねてしまうところだった。

 でも、ちがう。

 腕が違う。

 胸が違う。

 香りが違う。

 いやだ。

 小野田先輩じゃなくちゃ……いやだ。

 豊川くんの手を振りほどいて、走って店の裏の扉を開けた。


 どん


 人にぶつかった。

「ごめんなさい」

 顔をあげると、徳永先輩だった。

 徳永先輩は、涙でぐしょぐしょの私と、扉の中にいる豊川くんを見ると、徳永先輩はいきなり豊川くんに殴り掛かった。


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