カフェには黒豹と王子様がいます

 二人組の女の子のお客さんが帰るとき、徳永先輩がレジに立った。

「ありがとうございました」

 にっこりほほ笑む徳永先輩からお釣りを受け取った女の子たちは、うれしそうに「また来ます」と言って帰っていく。

 それを見送っていると、あのお客さんが立ち上がった。

 小野田先輩が、レジの方へ行く。

「徳永、向こう片付けてきて」

「え、あ、ああ。わかった」

 徳永先輩がレジから離れようとしたとき、あのお客さんが大きな声を出した。

「まてよ!」

 その言葉に、動きが止まる徳永先輩。

 そして明らかに変わっていく店内の雰囲気。

「お客様」

 声を発したのは小野田先輩だった。

「店内で、大きな声を出されては困ります。お話があるなら外で伺います」
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