カフェには黒豹と王子様がいます
 小野田先輩が徳永先輩をちらっと見る。

 徳永先輩はあきらめたようにお客様の方を向き、店の外に誘導する。

「小野田先輩!大丈夫なんですか?」

「徳永が蒔いた種だ。あいつが自分で何とかするしかねえんだよ。お前は気にしなくていいから仕事しろ、仕事!」

 なんか冷たーい。レジを代わろうとしたときは、ちょっとかっこよかったのに。

 
 片づけをしていても、窓の外にちらっと見える徳永先輩が気になって仕方がない。

 小野田先輩は、なんで気にならないの?

 徳永先輩のピンチの時に、なんでそんなに平気なの?

 と思っていたら、後ろから頭を小突かれた。

「おまえ、いいかげんにしろ。顔に出すぎだ。しばらく洗い場に入ってろ!」
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