カフェには黒豹と王子様がいます
 そうか。

 それがいいかもしれない。

 徳永が博子さん以外の人を好きになれたら、絶対に応援してやると決めていたんだ。

 西口なら、いいかもしれない。


 それからしばらく西口は店を休んでいたのに、ちょっと暇な日の午後、店に客として来た。

 店の入口に立っている西口は、いつもと雰囲気が違った。

 いつも一つに結んでいる髪をおろし、服装も、少しおしゃれな感じだった。

「どうしたんだよ、バイトは明日からだろ?」

「店のケーキが食べたくなっちゃって」

 あまり目を合わせない。

 伏目がちで髪をかき上げる。

 不覚にもちょっとドキッとした。

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