カフェには黒豹と王子様がいます
「だって……!」

 と小野田先輩の方を向いたら、小野田先輩は別の方向を向いていた。

 店の外に駈け出していく小野田先輩。

 私も慌てて追いかけた。

「警察、呼びますよ」

 そう言う小野田先輩のつかんでいるお客さんの手には、カッターが握られていた。

「小野田先輩!」

「西口!仕事に戻れ!今フロア、がら空きだぞ!」

「は、はい!」

 店に戻ると、お客さんが次々と帰ろうとしている。

「あ、あのお客様……」

「ごめんなさい、また来るわ」

「私も」

「お会計お願いできる?」

 どうしよう、お客さんみんな帰っちゃう……。
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