カフェには黒豹と王子様がいます
 私からパッと離れる五人。

 私はその場にへたり込んだ。

「西口、大丈夫か?」

 小野田先輩は私に駆け寄ってきた。

 豊川くんは必死で弁解を始めた。

「僕たち、別に何もしてないよ」

「ちょっと西口さんと、ゆっくり話がしたかっただけだよ」

「腕つかんで、口ふさいでたじゃねえか!」

「それは、西口さんが言うこと聞いてくれないから、仕方なく」

「仕方なくってなんだよ!」

 その時、徳永先輩の声がした。

「小野田!」

 笑っていない徳永先輩の顔は相当怖かったらしく、5人はあわてて逃げて行った。

「大丈夫か?西口」

 声を出すことも立ち上がることも出来ない。涙だけが次から次から出てくる。
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