カフェには黒豹と王子様がいます
「あったかいココア、買ってきたぞ。飲め」

 小野田先輩の声に我に返った。徳永先輩からぱっと離れた。徳永先輩に抱きしめられちゃった!しかもそれを小野田先輩に見られた!

 顔から火が出そうになって、ココアをグイッと飲んだ。

「あち」

「何やってるんだよ」

 ぶっきらぼうに頭をポンたたく小野田先輩の手のひらと、体にしみわたる甘いココアがようやく気持ちを落ち着かせた。

「ほんっと、あいつら今度店に来たら容赦しねえぞ」

 小野田先輩のその言葉だけで充分だった。
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