カフェには黒豹と王子様がいます
 マスターの腕は全治三か月らしい。とりあえず今日は臨時休業の看板を出した。

「じつは、僕がコーヒーの修業したところに応援を頼めないことはないんだけど……」

「お願いしますよ」

「たぶんあの人が来ることになるだろうなあ……」

「なんか問題あるんですか?」

「うーん、あの人ならコーヒーの味は僕よりすごいんだけどな~。ケーキもそこそこ作れるし」

「一回頼んでみてくださいよ」

「ちょっと性格に難ありだよ?」

 そう言って私の顔をちらっと見る。なんだろう??

「この際そんなこと言ってられないです。どんな人が来ても、おいしいコーヒーさえ出してもらえれば、何とかしてみせます」

「じゃあ、頼んでみるね」

 小野田先輩の押しに負けたマスターは、その性格が難ありという竹本さんに電話して、明日からしばらく来てもらえるように交渉していた。

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