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「うわっ、冷てぇ…」

「私だって冷たいよ。めっちゃ濡れたじゃんか」

「いや、どう見ても俺の方が濡れてんだろうが」


俺は濡れた部分を手で払う。

フッと笑った俺に、同じように美咲も笑みを零した。


この時間が新鮮でどれくらい居たのか分かんなかった。

だけど時間が物凄い経っていた事だけは分かる。

多分、もう今帰んねぇと仕事に遅れると思った。

でも、その選択肢は俺の中にはまだなくて、何故か時間すら見る事が出来なかった。


「ねぇ、私ちゃんとお金返すからね」


不意に掛けられた言葉にまたため息が零れる。


「だからいらねぇって言ってんだろ」

「ううん。返すから!私バイト探してんだ」


え、バイト?

その思ってもない言葉に思わず目を見開く。


「は?みぃちゃんがバイト?」

「うん」

「えっ?みぃちゃんが?」


嘘だろ。なんて思えば思うほど、笑みを零すと美咲は眉を潜めた。


「何か?」

「ってか、みぃちゃんバイトなんか出来んの?」

「出来るよ!!失礼にもほどがありすぎるよ。こうみえても私ファミレスでバイトしてたんだから」

「へぇー…、みぃちゃんがね。つーか、愛想悪すぎて客がどっか行っちまうんじゃねぇの?」


半分当たってるような言葉を言って笑う俺に、美咲は怒ったのか遠慮と言うものを知らず、思いっきり海水を飛ばしてきた。
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