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未だ、海水に浸かる足元をジッと見つめてる美咲は悲しそうに表情を崩してた。
そんな美咲に一息吐き、俺は履いていた靴を脱ぎジーンズの裾を脹脛まで捲りあげる。
そして同じように海水に足を入れた俺は、そっと手の平に水を救った。
その水を突っ立っている美咲に向かって飛ばした瞬間、
「冷たっ、」
驚いた声とともに頬を触る美咲に、思わずフッと笑う。
なのに呆然と見つめる美咲に、お構いなしに俺はもう一度、水を飛ばす。
「ちょ、何すんのよ!」
意識が戻ったかのようにハッとする美咲の声が響く。
「ボーっとすんなよ」
何考えてんのか知んねぇけど、そんな顔すんなっての。
思ったよりも水が冷たくて俺には丁度良かった。
足でバシャバシャする俺に、クスクス美咲の笑い声が聞こえる。
「なに笑ってんだよ」
「別に」
「あ?」
素っ気なく返された言葉に、つい眉間に皺が寄る。
なのに未だ、頬を緩ませ笑ってる美咲に、俺は軽く舌打ちをし、足で水を飛ばした。
「もー、やめてよっ!」
案の定、美咲の怒った声が聞こえたその瞬間、バシャっと音とともに俺の身体に水しぶきが物凄いかかった。