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帰ってシャワーを浴びスーツに着替える。
あぁ、眠い。俺の言葉はそれしかなくて、でも敢えてこの短い時間で会おうと決めたのは理由がつくからだった。
休みの日に会うと、とんでもない事になりそうだと思ったからで、休みの日に会うとその日が全て愛莉で埋まりそうだったから。
だから敢えて仕事前を選んだ。
それにしても眠い。
気怠いまま車を運転し、その場所に向かう。
車で一時間。よく考えて見ればこの時間すら無駄だと思った。
だけど物凄く懐かしく感じるこの風景が、お袋をちらつかせる。
通りかかった空き地。学校も行かず、屯ってた記憶が舞い戻る。
「場所、間違ったか、」
小さく呟き一息吐き、目的地の場所で車を停めた。
17時20分。
懐かしい店内に入り、店員に場所を案内され、移動する際中、
「…翔っ、」
その声に俺は視線を送る。
手を大きく上げてヒラヒラする愛莉に、前に居た店員が足を止め、俺に振り返る。
「あ、すみません。先に来てたみたいなんで、」
「あ、はい。どうぞ」
店員に少し頭を下げ、窓越しの席に座っている愛莉に近づく。
「翔、久しぶりっ、」
「あぁ」
席に着いた瞬間に置かれた水。
「アイス珈琲お願いします」
置かれた水と同時に俺は店員に口を開く。
「畏まりました」
店員の背後から視線を愛莉に向けて水を口に含み、俺は軽く息を吐き捨てた。
「会いたかった」
「……」
「翔、なんか変わったね」
「そうか?お前はなんも変わってねぇけど」
相変わらず当時のまま派手な愛莉。
目の前で笑みを浮かべる愛莉とは逆に、俺は早く帰りたかった。