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「なんでっすか?別に楓さんに迷惑かけてないっす」
「いやいや、すげぇ迷惑かかってるしな。お前がタケルに染まりそうで怖いわ」
「そこまで染まんないっすよ」
声に出して笑うアキに俺は顔を顰め、テーブルに置いてあったペットボトルを掴む。
「つかお前、彩斗と住んでんじゃなかったのかよ」
そう言って俺は乾いた喉に水を流し込んだ。
「あー…そうなんっすけどねぇ――…」
「って、楓さん。俺、アキと住んでねぇから」
いつの間にか傍まで来ていた彩斗がアキを遮って口を開く。
「あれ?住んでるって言ってなかったか?」
「言ってねぇっす。俺の家で飲んでそのまま寝てるとは言いましたけど」
「あぁ、そうなん?」
「アキと住むなんてマジ無理。コイツ片付けねぇもん」
「あーあ…みんな酷いっすね、俺のこと避けまくって」
げんなりとため息を吐き捨てる彩斗と不貞腐れるアキ。
そんな2人の姿に隣から流星の密かに笑う声が聞こえる。
「まー、頑張れよ。人生長いし」
「はい?流星さん、なんすか?なんのフォローにもなってねぇし」
「フォローしたつもりもねぇけどな」
「は?流星さんまで俺の事まさかの敵扱い?」
「俺には敵も味方もいねぇから」
「なーんか蓮斗さんみたいな事言ってますけど」
「レンと俺とはまた違う人種だから」
「んじゃ楓さんっすか?」
「なんでそうくる。ぜってぇ違うだろ」
「そもそもお前、元カノは?」
2人の会話を割って口挟んだ俺の言葉に彩斗がクスクス笑いだし、俺の隣に腰を下ろす。