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「おい、翔。聞いてんのかよ」
電話越しから聞こえる蓮斗の声。
「あぁ、聞いてる」
「紹介したい奴って誰?お前のツレはいらねぇぞ」
「なんで?」
「ロクな奴いねぇだろうが」
「いやいや勝手に決めんなよ。まぁ紹介したい奴はロクでもねぇけど…」
声は出さないが目の前のアキの顔が歪み、そして流星がケラケラ声をあげて笑い出す。
「ほんとお前、好きだな妹」
ごもっともな言葉を吐き出す流星に「まじでな」俺は小さく呟いた。
「好きとかじゃねぇんだよ。アイツの男がロクでもねぇ奴ばっかだから切ってるだけ」
「それ澪、嫌がんだろうが」
呆れて呟く俺にアキは何故か頷き流星はクスクス笑いだす。
「そう。だから最近アイツの事なんも知らねぇわ。あ、お前らの業種の奴はいらねぇから」
「あぁ。もう大丈夫。解決したから」
「あ、そう。んじゃお前、明日よろしく頼むぞ」
「はいよ」
プツリと切った瞬間、アキが身を乗り出した。
「ちょ、楓さん。勝手に解決しないで下さいっすよ」
「いや、だって。俺の業種いらねぇっつってただろ。そもそも澪はホスト嫌いだしな」
「また一人居なくなっちまったわ」
「兄貴が蓮斗だぜ?やめとけ」
「あーあ、楓さんはいいっすよね」
「は?」
「そう言うのに困った事ないっしょ?簡単に女が寄ってくっから追わなくてもいいっつーか」
「…そうでもねぇけど」
物凄く小さく呟いた声が流星には届いたようで、その俺の言葉に鼻でクスクス笑いだす。