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朝がくるのがやけに早い。
けたたましくなるアラームの音に腕を伸ばし音を切る。
まだ冴えない目をもう一度閉じ軽く息を吐き捨てた。と同時にハッと我に返る様にもう一度目を開け隣に視線を送った。
んだけども、隣に居た美咲の姿などなく俺は勢いよく身体を起した。
その所為でズキンとくる頭の痛みに額に手を当てる。
――…7:00。
珍しく日曜日に朝の仕事。
むしろ蓮斗と代わった以上、絶対に行かないといけない。
「…だるっ、」
思わず漏れてしまった言葉に深く息を吐き捨てベッドから降りて寝室を出た。
目を覚まそうと冷たい水で顔を洗い、リビングに向かった。
ソファーに深く座ってスマホを見つめる美咲に視線を送る。
「…みぃちゃん?」
俺の声にハッとする美咲は顔を勢いよくあげ顔を向けた。
「あ、おはよう」
「…はよ。どした?」
「え、あ、うん。スマホ変えようかなって思ってた」
「スマホ?」
「うん。あ、ねぇ…サンドイッチ作ったんだけど食べる?」
「サンドイッチ?その為に早起き?」
「寝過ぎて目が覚めちゃった」
苦笑いする美咲に俺も頬を緩める。
「そりゃあれだけ寝てるとそうなるわ」
「ちょっと早起き改善しないとね。あ、今日は仕事?」
「うん。日曜日なのにごめんな」
「ううん。大丈夫」
「食べていい?」
「うん」
サンドイッチを口にしながら不意に過去の記憶が過った。
あんなにお袋に対して険悪だったのにも関わらず、朝方によくサンドイッチがテーブルに置かれていた。
小学生の時はお袋が朝早く仕事に行き、そのポツンと置かれていたサンドイッチを寂しそうに食べた記憶がある。
それが唯一お袋がしていた優しさだったのだろう。
中学に入っても当たり前のように置かれていた。
なのに、俺は食べないことが殆どだった。
全く手をつけないどころか家にも帰らなかった。