Domain
「今日の昼飯、何にします?」
「んな事、まだ考えてねーよ」
「俺、朝ごはん食ってねぇから腹減ってんすよ」
「俺も食ってねぇよ」
「おぉ。じゃあ、早く飯にしましょーね。ご馳走様です」
ルンルンと飛び跳ねて行くタケルが幼稚園児に見える。
呑気でいいよな、あいつは。
なんて思いながら作業にとりかかる。
「お前が払う前提じゃねーかよ」
タバコの煙を吹かしながら蓮斗が笑う。
「いっつも俺。拒否るんもめんどくせーわ。お前がアイツ連れてパチンコ行くから金なくなんだよ」
「あ?誘ってなんかねぇわ。アイツが勝手に来てんだから知らねーよ」
「お前ずっと行ってんの?」
「ずっとっつーか、依頼と依頼の間の時間とか、待ち時間が多い」
「すげーな、お前。そんな時間あったら俺寝たい」
「お前は身体弱ってんからね。ちゃんと治せよ」
ハハっと笑って蓮斗は俺とは別方向に向かって足を進めていく。
毎日飲む薬を手放さねぇといけないと分かっていながらも、それが出来るわけでもない。
こんな状況に嫌気がさす。
だからと言ってホストでいる限り酒はつきもので、辞めることすら出来ない。
「ぜってぇ、言えねぇな…」
思わず呟いてしまった言葉。
今の状況を絶対美咲には言えない。
だから咳が治るまでは美咲とは会わない方がいいと思った。
だけど、日が経つうちに会いたいと思う気持ちが高まってくる。
俺から会いに行けばいいものの、待ってる自分がいる。
きっと、それは美咲から来てほしいから。
美咲から俺に会いに来てほしい。
ただ、それだけ。
美咲に対して特別なことは何一つ出来てない自分が情けなく思う。
だから。
何か形だけでもと思い、俺は次の日、ネックレスを買った。
こんな事すら出来ない自分にため息を吐き出した。