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「何か飲む?」


そう言いながら冷蔵庫に向かい扉を開ける。

中からパックのカフェオレとレモンティーを取り出し、後ろを振り返った。

その視線に気づいた美咲は足を進めて俺の隣に来て、レモンティーを掴む。


「これ」

「冷たいけどいーの?温かいの作ろうか?」

「ううん。いいよ。ありがと」


それを持って、もう一度ソファーへ向かう美咲から視線を外し、俺は冷蔵庫からペットボトルの水を取り出した。

その蓋を開け、喉に流し込み、テーブルにあるタバコを咥えて換気扇をつけた。


「バイト何時から?」


火を点けながらそう言って美咲に視線を送る。


「19時だよ」

「送るわ」

「え、別にいいのに」


やっぱり言うと思った。

相変わらず俺に甘えてこない美咲に苦笑いが漏れる。

そんな美咲と視線がかち合った時、「え、なに?」と不思議そうな美咲の声が届く。


「そこは、うん。っつっとけよ。また俺の心配でもしてんの?」

「…してないよ」


ワンテンポ遅れた美咲の言葉に俺は鼻でフッと笑う。

してんな、その返事は。


「寒いから送らせて」

「うん。ありがと」


素直な返事に笑みを向ける美咲と、あと何回会えるのだろうか。なんて考えてしまう。

そんな考えを吹っ切るように、気持ちを整え、タバコの煙をため息と共に深く吐き出した。


「つか、いつまでバイト行くんだよ」

「うーん…一応来月頭まで」

「一応って何?」

「人足りなかったらギリまで」

「そんな行く前まで頑張んなくてもよくね?」

「なんか人足りないって言われたら断りきれなくて」


苦笑いする美咲に俺は呆れた様にフッと鼻で笑い、咥えていたタバコを灰皿に押し潰した。

って事は、俺と会う時間もそんなねぇな、なんて思ってしまった。
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