愛してるって言って
相手にされないという部分は一緒かもしれないけれど、もし圭ちゃんのことを好きになっていたなら、もっと等身大の恋ができていたのかな。


なんて、ありもしないことを考えてもしょうがないんだけれど。



「つーかさ、昨日何で言わなかったんだよ?」


「昨日?」


「ん、兄貴んとこへ行くならそう言えば良かっただろ? 『寄るとこがある』なんて濁しやがって」



圭ちゃんはそう言うけれど、言ったら言ったでうるさいのは圭ちゃんなんだもん。



中学に入り立ての頃までは、圭ちゃんだってブラコンなんじゃ……と思うほど、蒼ちゃんにまとわりついていた。


なのに、二年に進級した頃から急に蒼ちゃんに突っかかるようになったんだよね。


兄弟間のことはわからないけれど、喧嘩でもしたのかなぁくらいにしか思っていなかったのに、それからすぐに蒼ちゃんは家を出て独り暮らしを始めたんだ。
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