俺は、お前がいいんだよ。

「陽希の方こそ、無理しないでね。今日と明日は運営委員が一番忙しいと思うから…。」


「ありがと。でも、俺は大丈夫だよ。あ、そろそろ自分の班に戻らねぇと…。」


「うん。」


少し寂しさを感じながら頷くと、陽希は私の耳元に顔を近付ける。


「あの女のことだけど、俺も運営委員だから、アイツの行動は注視するつもりだけど、一応…由依も警戒しておいて?」


「分かった…。」


「……それから、同じ班の男にも警戒な?」


「えっ…?」


栗山さんだけじゃなくて男の子にも…?


「由依は可愛いんだから、それ以上…魅力を振りまいたりしたら、周りの男に好意を持たれちまうだろ?」


「そ、そんなこと有り得ないと思うけど……」


「いや、充分…有り得る。由依の色んな可愛いところを知るのも見るのも、俺だけでいいんだよ…。」


フワリと少し照れくさそうに笑った陽希は、駆け足で自分の班へと戻って行ってしまった。


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