野獣の誘惑
「怒りは治まった?」



ソファーに座りながら私を見る



この人には嘘は付けないのかもしれない
そう思うと悔しくて苛立ちが来る



私の放つ匂いに感情が見えるのか クスッと笑う彼



「あなたは誰に対しても匂いを嗅ぐんですね。」



「いや。違うな。」



余裕をかます彼がイヤ
私だけが振り回されている



「さっきのは確認だ。見るだけで相性が悪いのは見えてる。どこまで相性が悪いか興味を持っただけだ。」



彼が言っている意味がわからない
匂いを嗅ぐだけで相性がわかるだけじゃなく 見るだけで相性がわかるの?



そんな力があるの?



「菫の匂いは媚薬みたいだ。クラクラする。」



私の手を取り自分の方へ引っ張る



私は嗅がれてるばかりで 彼の匂いを知らない
急に興味が湧いた



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