ワンコorオオカミですか!?
「狼君」
電車に揺られながら、狼君の背中に頭をこつんと当てて言う。
「はい?」
「ルームシェア、やっぱ無理かな。ごめんね」
「はあ!?」
ぐるんと勢いをつけてこの人混みの中から狼君はこっちを見てくれた。
「何でですか!? もう今日はどうしたんです? やっぱ美国部長と何かありましたか」
「ううん。でも、ちょっともう無理なの。今までの距離でお願いしてもいい?」
自分でも情けないけれど、もうこの感情を無理矢理閉じ込めて忘れてしまおうと笑う。
なのに、急ブレーキの瞬間に私の情けなさが更に現れた。
「先輩、その首」
「あ、タクシーの運転手さんも驚いていたけど、そんなにはっきり分かるの?」
ただ噛まれただけで、実に数秒のことだったと思っていたのに。
「『そんなにはっきり分かるの』じゃないですよ! 先輩は俺を煽ってるんですか!?」
「あ、おる? 煽る……?」
悔しそうに唇を震えさせる狼君が、ブレーキの反動に合わせて身体をゆっくり私に密着させる。
ドアに押し付けられた私は、首に狼君の舌が動くのを感じた。
下から上へ舐めるその動きは、私の知っている人懐こい犬の動きではない。
立派なオオカミが狙う動きだった。
「ひ、――狼君っ」
ちゅっと音を立てて首筋から唇が離れたと思ったら、また唇は首筋に吸いつく。
何度も何度も音を立てる。
携帯を弄ったりおしゃべりをしている人たちでぎゅうぎゅうのこの電車の中で、異質な音が私の耳に響いた。
電車に揺られながら、狼君の背中に頭をこつんと当てて言う。
「はい?」
「ルームシェア、やっぱ無理かな。ごめんね」
「はあ!?」
ぐるんと勢いをつけてこの人混みの中から狼君はこっちを見てくれた。
「何でですか!? もう今日はどうしたんです? やっぱ美国部長と何かありましたか」
「ううん。でも、ちょっともう無理なの。今までの距離でお願いしてもいい?」
自分でも情けないけれど、もうこの感情を無理矢理閉じ込めて忘れてしまおうと笑う。
なのに、急ブレーキの瞬間に私の情けなさが更に現れた。
「先輩、その首」
「あ、タクシーの運転手さんも驚いていたけど、そんなにはっきり分かるの?」
ただ噛まれただけで、実に数秒のことだったと思っていたのに。
「『そんなにはっきり分かるの』じゃないですよ! 先輩は俺を煽ってるんですか!?」
「あ、おる? 煽る……?」
悔しそうに唇を震えさせる狼君が、ブレーキの反動に合わせて身体をゆっくり私に密着させる。
ドアに押し付けられた私は、首に狼君の舌が動くのを感じた。
下から上へ舐めるその動きは、私の知っている人懐こい犬の動きではない。
立派なオオカミが狙う動きだった。
「ひ、――狼君っ」
ちゅっと音を立てて首筋から唇が離れたと思ったら、また唇は首筋に吸いつく。
何度も何度も音を立てる。
携帯を弄ったりおしゃべりをしている人たちでぎゅうぎゅうのこの電車の中で、異質な音が私の耳に響いた。