ワンコorオオカミですか!?
上半身裸に、タオル一枚を腰に巻いただけの狼君が、ちょっと男らしい声で電話してる――!
何に驚いて良いやら。


「じゃあ」

まだスマホの向こうでは話声が聞こえてきたけれど、一方的に電話を切ると、ちょっとだけ間を開けてから狼君が口を開いた。


「今の話、聞こえていた?」

「ううん。ごめんね、ただの偵察中だったんだけど」

何か聞かれたくなかったのか、狼君の顔が暗かったけど、すぐにその姿のままキッチンへ向かう。


「こんなに早く先輩が起きると思わなくてすいません。あ、朝ごはんはパンで良いですか?」

この話は突かないでくれと狼君のオーラが言っていたので、私は冷蔵庫からジャムを取りだす係に進んで立候補する。


「で、友人が仕事が休みみたいなんで、サンタの病院をお願いしました。帰りは俺が迎えに行きますが」
「一緒に行く!」
「ですよね。じゃあ、今日は先輩の方が忙しいと思うので頑張って下さいね、仕事」

念を押されて気が重くなったけど、頑張るしかない。

サンタの餌代ぐらい稼がなくては!
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