どこかにトモダチ転がってませんか?
宮守さんは「せんぐう」の意味を教えてくれました。
それから、タコさんはとても腕のいい宮大工だよ…と言いました。

「全国のいろんな場所でお宮を建てたり、お寺を改修したりしてるんだ。だから、なかなか捕まらないよ…」

上の神社を建て直してくれるようにお願いしたのも1年前で、他にも多くの予約が入ってるらしいのです。

「九州にどのくらい居るか知らないけど…半年はくだらないだろうね。1年…下手すると2年くらい居るかもしれない…」

「…その間、ここにはもう来ないんですか?」

気になって尋ねました。
宮守さんは少し考えて答えました。

「…そうだね…また、どこか壊れたりしない限り、ここには滅多と来ないと思うよ。でもね……」

宮守さんは立ち上がると、奥の部屋へ行きました。
そこから大きな箱を抱えて出てきました。

箱を開け、中身を広げました。
額に入った絵を三枚。私に見せてくれました。


「この絵にまた会いに来ると言ってたから、いつかまた来ると思うよ。『大事に保管しておいて欲しい…』と頼まれたからね…」

額縁のフタに、『くらはし ののか 作』と書かれてました。
その字を見て、目の奥がかすかに潤んできました。
つぅ…んと鼻を指す、涙のにおいがしました。でも、泣かずに話を聞きました。

「富さん達は、この絵を大事な友人がくれたと言っていた。その友人がいつまたここへ来ても絵が見られるようにしておいてやりたい…と言って、持って行かなかったよ。……友人というのは嬢ちゃん、あんたのことだろう?」
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