どこかにトモダチ転がってませんか?
「…キツネだ…キツネがいる…」

細い目が更に細くなりました。
口もへの字になっていきます。

「面白い顔…」

ついつい笑っちゃいました。
寝起きに笑うなんて、これまでの私にはありません。

起きたら大嫌いな学校が待ってて、どんなに行きたくなくても、行かされるからです。



「目ぇ覚めたのか?」

お味噌汁の匂いが近づいてきたので、そっちを見ました。

「…あっ、夢で見たタコ…」

タコさんは、金色の平たいお鍋を持っていました。

「…まだ大分寝ぼけとるな」

困った顔をしています。
キツネさんは私の横に膝をついて、ピンッ!とおデコを指で弾きました。

「…こらっ。いい加減に目を覚ましやがれ!このちびっ子!」

……ちびっ子⁉︎
どこの誰のこと⁉︎

もしかして、私…?
私は確かにチビかもしれないよ。
身長は兄弟の中でも1番小さいし、クラスでも、学年でも、2番目くらいの小ささだもん。

でもね…
小さいから…って、『ちびっ子』と言われるのはハラが立つ。

チビはチビなりに、大きくなろうと努力してるし、ましてや私はまだまだ成長期。
これから大きなる可能性もあるのに、早くからチビ扱いしないでほしい。


「……ムカつくなぁ…」

声に出してみました。
クラスメートが相手なら言えなかったけど、キツネさんになら言えます。

「…あんっ⁉︎ 」

変なふうに顔が歪みました。
キツネのくせに、『コン!』とは鳴かないんです…。
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