タイムトラベラー・キス

「うーん、どうしよっかなぁー」


「何を悩んでるの?」


「あっ、おはようさちちゃん」


独り言を言いながら登校していると、高校1年の時同じクラスだった秋里さちちゃんが声をかけてきた。
そういえば、1年の時はさちちゃんといつも一緒にいたっけ。


「あ、えーとねぇ、もうすぐ七夕だから何かしようかなって思って」


「そうなんだ。去年は皆で一緒に七夕祭りに行ったよね!」


「え?あ、そうそう!行った行った!」


適当に話を合わせたけど、七夕祭りのことなんてすっかり忘れていた。
このあたりでは毎年七夕の時期に大きな祭りがあり、多くの人で賑わっている。

数多くの屋台と大きな花火はもちろんのこと、短冊にお願いを書いて飾ることが出来る。

……どうして、この祭りのことを忘れていたのだろう。


「雫ちゃんは竜見くんと行くの?」


「あ、ええと、竜見くんとはもう別れてるよ」


苦笑いをして答える私を見て、さちちゃんも気まずそうに笑っていた。
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