タイムトラベラー・キス
先輩たちと何があったのか非常に気になるけれど、それを悟られないように話を合わせた。
こういうことは未来でもよくあったし、慣れてしまったかも。
……それより、野々村くんが私を想って手帳を買ってくれたことが嬉しい。
きっとこの手帳は、彼との思い出でいっぱいになる。
この手帳だけじゃない。毎年毎年、新しい手帳が彼との思い出を記録に残していくだろう。
そういえば、未来ではあのピンクの手帳は、7月7日以降は何も書かれていなかった。
その理由が、今ようやく分かった気がするよ。
7月7日のキスの時間だけ記して、あとはこのオレンジ色の手帳に書いていこう。
……私たちは、お祭りから帰る時、ずっと手を繋いでいた。
このごつごつした大きな手は、過去も未来も変わらない。
「そういえば、お前はいつから俺のことを好きでいてくれたの?」
「んー、それは多分、10年後くらいに分かると思う」
「なんだよそれ。じゃあ絶対に10年後に聞くからな」
「うん、それまで覚えていてね」