殺戮都市~バベル~
狩野が……闇夜を華麗に舞って、手にしていた日本刀を振り下ろす。


着地地点にいた人が、うめき声一つ上げずに両断され、狩野もまた、血飛沫が飛び散る前に刃を返して素早く横飛んだ。


高速で身体を回転させて、フィギュアスケートと選手かと思うような美しさ。


その凶悪な回転は、横一列に並んでいた人達の頭部を刎ね飛ばして……一瞬で10人近くの人間が、自分の身に何が起こったのかわからずに、その場に倒れたのだ。


「流石は狩野だな。少年も強いが、狩野の強さは少年とは異質の物だ」


「お、俺もそう思います。何だか……綺麗ですよね」


その身体の使い方というか、動作の柔らかさに、思わず見とれた俺の肩を、なぜか恵梨香さんが叩く。


「えっ!?な、何ですか?」


「……別に」


こんな時に一体何なんだよ。


前はこんな事しなかったのに、本当にどうしたんだろう。






「おい!向こう側に敵がいるぞ!」





狩野が華麗に南軍の人間を仕留めている中、通りを挟んだ反対側に陣取っている人が気付いたようだ。


俺達が屋上にいると知られるのはまずい。


「恵梨香さん、俺が反対側をやります!」


そう言って、俺は通りの向かい側のビルへと飛んだ。
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